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鵺伝説#055>林月(りんげつ)

鵺伝説#055>林月(りんげつ)


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翔にとって母である雅子は幼い頃から自慢だった。
母親は歳をとるごとにキレイになる。
30になり40も間近になるが、
肉体は引き締まり、センスもアップする。
それで、何人もの女友達は、翔の家に来るのを嫌がりだし、
男の子は用もないのに家に上がりたがる。
母親が若さを保っている秘訣は、子供の時からつづけている空手の
せいもある。
心身を鍛えるにはうってつけらしい。
東大理工系だから頭もいいし、
ITプログラムの知識では翔など
雅子の足元にも及ばない


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そんな母親が、最近発病した。
心の病気で厄介なノンストレスシンドローム。
人は適度のストレスを必要とする。
母親には心配事、悩み事がまるでない。
日常生活でそれがどのように具体的症状を引き起こすかというと、
時と場所を選ばすに堕ちる。
コーヒーカップを持ち上げて飲もうとした瞬間
スーと意識が無くなる。
家でも外でもおなじだ。
歩きながら発作がおきても瞬間的だから
本人は認識しない。
今の医学ではそれが最高のサンプルになる。
老化とかガンとかのメカニズム解明には、
ここからアプローチをしたほうが近道らしい
欲がないとストレスは生まれない。
母親にそれが欠けていた。

さすがに息子は母親の病に気がついた。
自慢の母。
あれこれ漠然と考えたら
幸せ過ぎて不幸だと思った。
ある意味、的を得た診断だ。
母が大好きだから
(もっと幸せにしてやろう)
と、母親を悩ませることが自分にできること。
ならば、異性としての愛を告白してみようと決めた。
酷く適当な論法だが、男女の性愛のスタートは
所詮こんなものかも知れない

息子は一旦そう思うと妄想と現実の違いがわからなくなっていく。

頭の中で母親への妄想が膨らみオナペットとして
飼い出した。
最初の母の幸せをとの思いは妙な方向へと
(ひず)んでいく。
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母親には出来のいい息子が、
近頃、物分りの悪い息子になった気がした。
いくら物分りが悪いと言っても
「愛しちゃった。」
とまで言われ、面食らってしまう。
戸惑うが、思春期の反抗期をよりはいいかも知れない。
と、暢気に思ったりする。

息子は母親に多額の小遣いをせびる。
その金で夜遊びをするようになり成績も
落ちた。
その程度で済ませられたらよかったのだが、
女まで作ったあげく孕ませてしまう。
その事後処理も母親に任せたのに、
現金にもケロッとしている。

「当分、あなたの好きにしなさい」
この程度のワルでは、母親の気を惹けないようだ。

母親のカラダを狙っているのは彼だけではなかった。
三人組の少年がワザと母の車に接触させ、
一人が車の中に乗り込んできて乱暴しようと
したらしい。
車のドアを閉めた拍子に相手が大ケガをした。
警察沙汰になった。
母は参考人として警察へ呼ばれ調書を取られた。
係員は
「過剰防衛」じゃないか?
と責める。

確かに少年の腕が折れてしまったから
そう言われてもしようがない。

それはたいしたことでないのだが、
どうも、ワルの一人が息子の中学の同窓生だったらしく、
母親は息子の差し金では?
と疑ったようだ

天は息子に味方した。
ある日、母の右手が上に上がらなくなった。
それは四十肩かなにかでどうこうないが、
更年期症がはじまり母親のノンストレス症候群が、
それで完治した。
女性ホルモンの微調整は月が司る。
えらいものを味方にした息子の想いは、
母親の気持ちを射抜き、隙ができて
留まり定着したようだ。
息子の想いを受け流せなくなる。
気にも止めないことが気になりだした
母親の決断も潔かった。

夜の軽井沢。

別荘の灯りを消した部屋の中で、月明かりを浴び
窓際に立った母親は、息子の視線をうけながら
着衣を脱いだ。
思い描いていた母の裸身と、実物の違いに
息子は眼が眩んだ。
圧倒的な存在感とビーナスが生まれたような幻惑に
包まれる。
膝がガクガク震えるほど母はキレイに見えた。
ビーナスのオーラに包まれた息子も若いナイトに
なったような・・・
そんな気にさせられて母親を胸に抱き寄せる
妥協をゆるさない母の性格は息子との行為でも、
最初から最良に包まれようとする。
快楽に従順で、お互いが昂まることへの熱中度も
半端じゃなかった。
母子の初夜はいつ果てるともなく続く。
肉の快楽が極まり精神の快楽も高めようとするから
母か実の息子の子供を孕みたいと願った。
その想いは行為を更に過激に煽る結果となり、
非情な月がこの母子の願いを
叶えてしまう。

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そして年の瀬も押し詰まり。
とある産科に産気づいて来院した
ある夫婦に玉のような女の子が生まれた。
担当医師とナースが首をかしげている。

夫はまだ若く20歳そこそこ。
妻は見た目は5,6歳上のようだ。
ナースや医師には不思議に思える事が
あった。
カルテには、
妻は20歳夫より年上だったが
夫婦というより母子に思えて

仕方が無い。

もちろんその夫婦は
ひっそりと暮らす翔と雅子だとは
医師もナースそして周囲も
知る由も無いのだが・・・。
この先この母子夫婦に幸在らんことを。

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